クリスマスを探偵と*伊坂幸太郎


この小説のあらすじは、伊坂さんが大学一年生の時に書いた短編小説がもとになっているそうです。

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この本を読んでいる時、以前PKから『1人では無理がある』という短編小説をご紹介しましたが、そのお話を思い出しました。

(ネタバレあり)

***
探偵カールは依頼を受け、男性の浮気調査をしているところでした。

男性が誰かの家を訪れ、
その中から女性が出てきて、2人が家の中へ入っていったのを確認します。
尾行距離が長かったため、カールは休める場所を探し、公園を見つけます。

ベンチに座っていると、男が声をかけてきて隣に座りました。

なんとなく会話をし、今日がクリスマスであることに話が流れます。

カールが自分の幼かった頃のクリスマスのエピソードを語ります。
なぜ彼が15歳の時までサンタクロースが存在すると信じていたのか。
なぜサンタクロースを信じなくなったのか。
その頃から家庭環境が悪くなり、
父親は母親から浮気を迫られ、
息苦しくなったカールが家出をしたことまでを打ち明けます。

話を聞き終えると、男が突拍子も無い意見を述べます。

「カールさんのお父さんが
本当のサンタクロースだと考えたら、どうでしょう?」

カールは一笑します。


男はサンタクロースの有名な話しを始め、トナカイについても語り始めます。

そして、カールの父親がサンタクロースであるかもしれないということをいろんな方向から可能性を出していきます。

しかし、カールは
今自分が尾行しているのは誰で
依頼してきたのは誰であるかを男に語り、
父親がサンタクロースではないことを断言します。

***

そろそろと腰を上げた時、
先ほどの家の中から誰か出てくる姿がカールの目に映りました。
しかもカールの予想を翻すとんでもない格好で。

一方、隣に座っていた男も公園から出て行こうとします。そしてカールに
「父の代からはあんな赤い服、気なくなったんですよ」と言います。


***

読み終えて思うことは、
カールのお父さんも、「1人では無理がある」で出てきた組織で働いていた人なのではないかと思いました!
"まさにリンクしてる!"
伊坂幸太郎さん作品あるあるでした!

男がトナカイについて語ってる時も、確かトナカイ部門あったもんなーって思いながら。
カールの隣に座ったその男もそこで働いてるんだろう。と勝手に解釈しました。つまりカールの父親とその男は同僚ですかね。

カールが「(サンタクロースが)一人で、たった一晩で、世界中を回れるわけがない。トナカイが空を空を飛ぶこともおとぎ話とも呼ばないおとぎ話だ」
と言った時、
大丈夫、サンタクロース業は大人数で分業制だから。
って教えてあげたくなりました。